【短編】君だけを愛したい
あれ……?
やっぱり、本当はからかってただけで、“携帯のアドレスもいらねー”とか?
別に、それならそれでいいんだけど。
俯いたまま動かない崎村が何となく気になって。
様子を見ようと、伺うようにして顔を覗き込んでみた。ら……
「オイ……
何、泣き笑いしてんだよ……」
本当に、呆れる。
崎村の行動も考えてることも予測不可能すぎて、理解出来ないどころじゃねー…
謎だ。
崎村から離れ、壁に背を預けて盛大に息を吐き出していると。
「渉ちゃんが、私を喜ばせるからでしょ!!」
涙で瞳を潤ませながら拗ねたような表情の崎村が、ようやく顔を上げてオレを見つめていた。