【短編】君だけを愛したい
「……泣くほど、喜ぶことか?」
呆れた表情を崎村へと向けつつ……
内心、心臓の辺りがズキズキ痛むのを感じていた。
どんな理由にしろ、泣かせたのはオレ……か?
「だって、嬉しかったんだもん♪」
崎村の笑顔から逃れるように、視線をフイッ…と逸らして。
見上げたのは、照り付ける太陽と一面青色の空。
眩しい夏空の下、崎村の言葉に何も返せず沈黙したまま、昼休みの終了を報せるチャイムが鳴り始めて。
オレと崎村は、各々の教室へと戻った。