【短編】君だけを愛したい
メイクはバッチリ。
金に近い茶の髪を左耳のすぐうしろに結い上げて、ストレートの髪を夏風に揺らす。
ニコニコと満面の笑みを、イヤイヤ振り返ったオレに向けるその女の子。
因みに……彼女ではない。
なぜだか、1ヶ月前から付き纏われている。
……悪く言えば、半ストーカー状態。
校門前で立ち止まり、オレが振り返ったことで彼女―――崎村真希(サキムラ マキ)から体が開放された、その隙に―――
オレは彼女に構うことなく、早足でさっさと歩き校門を抜けた。
「えーっ?
渉ちゃん、待ってよっ!!」
そんなオレをパタパタと追い掛けてきて、スルリと左腕に絡み付いてくる。
まるで、当たり前の行為のように……