【短編】君だけを愛したい
その日の夜。
震えたケータイには、やっぱりというか何というか……
崎村からのメールが受信された。
本を読んでいたオレは、苦笑しつつもメールを開いた。
そこには、予想に反して素気ない、簡潔な内容の文字の羅列だけが液晶に写し出されていた。
『今日は、サンドウィッチ食べてくれてありがとうございました!おやすみなさい』
本当に、理解出来ない女だなー…
なんて思ってしまうわけで。
オレの知る崎村は、ベタベタとしつこいくらいに積極的で鬱陶しくて。
実際、毎日そのまんまの行動をしてくれてるわけだけどさ?
メールは、シンプルというには足らないくらいに素気ないモノ。
絵文字や顔文字さえ無い。
どの崎村が“崎村”なのか……
いや、どれも崎村なんだろうけど。
オレにはやっぱり、『崎村真希』は掴めない女だと思えてしまうんだ。