【短編】君だけを愛したい
「朝からデカイ声で喋んな、うるさい。それに、ベタベタくっつくな、鬱陶しい」
おおよそ冷たいと思われる態度で、絡む崎村の腕をほどいてやる。
「ひっどーいっ!!」
そう口にしながらも、早足で歩き続けるオレを笑顔のまま小走りで追い掛けてくる。
そもそも、なんでこんなことになってんだ?
アイツに気に入られる理由がわかんねぇ……
顔も外見も極々普通の、しかも眼鏡までかけてる冴えないオレに付き纏って、何が楽しいんだ?
罰ゲームかなんかか?
それとも、からかってるだけか?
悶々と、答えに行き着かないのに考えてしまう。
崎村本人に聞いても、きっと解決しない。
―――なぜなら……