【短編】君だけを愛したい
突如、キュッ…と横腹辺りのシャツを握られたかと思ったら、息を乱した崎村がいて
「渉ちゃん、私と付き合って♪」
にっこり微笑んで、そう言うんだ。
「はぁー…。
お前も毎日、飽きねぇよなぁー…」
数秒の間の後。
大袈裟に溜め息を吐いて、言われた言葉には答えることなく、下駄箱に向かい靴を履き替える。
毎日、崎村は
『付き合って』
その言葉を投げ掛けてくる。
それを普通なら、嬉しく思うべきなのかもしれない。
なのに、オレはその言葉を信じないし素直に喜ぶこともしない。