Airis 2
さっき置いたばかりの鞄の中から聴診器やらを取り出した。
「お、珍しい」
自分から音を聞かれる準備をしてるなんて。
捲りあげてはないけれど、裾を持って準備をしているだけでもびっくりだ。
「ん……音は綺麗だな」
特に気になる雑音もなく、
喘鳴も聞こえない。
本人もそれが分かっているから、
こんなに能動的なのだろう。
「口開けて」
「………」
「はいオッケー。んー……多分疲れからだろうな。まあ俺もひとまずピークは過ぎたし帰れる日が多いだろうから。薬飲んで寝れば大丈夫」
立ち上がって棚の箱からいくつかの薬を取り出す。
熱もないから吐き気止めを飲めばいいだろう。