Airis 2
「痛っ………」
しばらくお互いの目の前のものに集中していると、沙衣ちゃんの声が響いてピーラーが床に落ちた。
多分指が切れたのだろう。
ここでジャガイモではなくピーラーを落とすのもまた、沙衣ちゃんらしい。
普通逆だと思うけど。
「大丈夫?……ちょっと診せて」
そっと沙衣ちゃんの持つジャガイモを取って切れた指を診る。
思ったよりも深く切れていた。
タオルで止血しようとキッチンから取りギュッと押さえつける。
「っ……」
「ごめん、痛いだろうけどちょっと我慢して」