Airis 2





しかし沙衣ちゃんにはそれに返す元気もないようで。




「っ……」




パッと口を手で押さえた。

吐き気が出ているのは、貧血もだいぶ酷いということだ。


急いでタオルを取って沙衣ちゃんに渡した。

背中をさするとかなり気分が悪いのか、
ぎゅっと目を瞑っている。




「湊、ごめん。真鍋に連絡しといてくれる?」




「ん、オッケー」




そう言うとポケットからケータイを取り出して、湊は診察室を出た。




「ちょっと深呼吸してみようか」




声をかけてみるけど沙衣ちゃんには届いてないようで。




「ごめん沙衣ちゃん、ちょっと抱えるね」




ひとこと断って沙衣ちゃんを診察台にそっと降ろした。




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