Airis 2
ここでさらっと嘘をつける大地を俺は尊敬する。
俺なら絶対説得するのに一時間はかかる。
「じゃあやる…」
「準備してくるからちょっと待っててー、真鍋手伝って」
そう言うと診察室の外に出た。
大地の後ろについて俺も診察室を出る。
「痛くないとか言っちゃって」
「そう言わないと沙衣ちゃんやらないでしょ」
まあその通りだ。
「あのさ、結構詳しく調べるけど…」
「ん、分かってる」
大地が振り向いて言った。
その言葉に頷く。
「俺もちゃんと調べて欲しいし……よろしくお願いしますよ、主治医さん」
「はい、任されました」
大地はそう笑って手際よく準備を進めた。