Airis 2
「………あと二週間、ということになりました」
「そっか……真鍋には話した?」
「いや、まだ…」
「早く言わないと、あいつ意外と気にするからな、そういうこと」
職場に辞表を提出したその日、
定期検診で大地くんのもとに来た。
「沙衣ちゃんは大丈夫?」
「あ、職場の人にも理解してもらえて。怒られませんでした」
「いや、そうじゃなくて」
「え?」
「会社辞めたこと、後悔してない?」
診察室でわたしを見て話すその目は、
なんだかわたしの心の中を全て見透かしているかのようで。
なんだかいたたまれなくなったわたしは、思わずその視線を逸らしてしまった。