Airis 2





「はい、これ付けて」



渡された吸入器を口に押し当てて、必死に吸おうとするけどなかなかうまく吸えない。

昔から吸入は苦手だ。



「ゆっくりでいいから」



優しく背中をさする大地の大きな手。

この手に触れるといつもより安心できる。



20分以上の時間をかけて吸って、ようやく発作も落ち着いた。



「なーんか、いやな感じだね」



背中に聴診器をあてて音を聞きながら、そう大地がつぶやく。



「最近なんかおかしいとこある?」



「ううん、特にない」



「そっか…」





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