Airis 2
「歩けるの」
もう知らないなんて言いながら心配してくれるのが大地の性格だ。
愛永を抱いて少し先を歩きながら、振り返ってわたしに聞いた。
「うん、大丈夫」
そう言って駐車場へと向かう。
椅子に座っていたおかげで、少しはマシになったはずだった。
外に出るとムッとした空気がまとわりついて、思わず吐き気が戻ってきた。
「っ……」
手で口を抑えた拍子に袋が落ちた。
幸い割れ物ではなかったようで、壊れずにドサッと音がした。
その音に大地が振り返る。
「……だから言ったのに」
戻ってきて袋を拾う。
愛永を片手で抱いて、空いた手で背中をさすってくれた。