Airis 2
何があったか聞くわけでもなくただずっと抱きしめてくれる。
「湊っ……」
「ん」
「苦しい……つらいっ」
子供みたいに泣きじゃくりながら、繰り返した。
「つらいな、つらいよな」
頭をぽんぽんとしながら落ち着かせようとしてくれる。
「こんな奥さんでごめんねっ…何も出来なくて…」
「奈央、ごめんな。俺も何ひとつ奈央の力になってやれなくて」
そんなことない。
顔を上げると、湊まで泣いていた。
静かに、泣いていた。
「ごめん、ごめんな…」
「湊…」
湊が泣いていることが悲しくて、更に涙がでてきた。
湊を泣かせている自分が嫌だった。