Airis 2
「はい、どうぞ」
コトン、とカップが置かれた。
1杯だけ淹れたらしく、そのまま隣に座る。
そっと口に含むと、昔と変わらない味がした。
「ん、美味い」
「ほんと?よかった、まだ出来て」
へへ、と笑う奈央をみて思わず俺も笑った。
「あのさ、湊」
「ん?」
「……」
黙り込んだ奈央を見て、カップを渡した。
「飲みなよ、せっかく自分で淹れたんだから」
「……ありがと」
ひとくち飲んで、また戻ってきた。