Airis 2
真鍋side
「もしもし、沙衣?」
今日は当直で帰れないので、夕方時間を見つけて家に電話をかけた。
朝の様子からして、だいぶダウンしているはずだ。
「ん…タケル?」
寝ていたのか、声が寝ぼけている。
起こしてしまったことを少し申し訳なく思いながらも、仕方ないと自分に言い聞かせた。
「どう、調子は」
「どう、って。いつも通りだよ」
サラッと言えばいいかと思ったが、とことん言いたくないらしい。
家に居られない身としては、正直に言って欲しいところだ。
「薬切れてるんでしょ」
「え、なんで」
なんで知ってるの、と続けたかったのだろうが、途中で気付いたのか言葉を切った。
こっちは医者だっていうのに、気付かないと思っている方が不思議だ。