Airis 2
電話を切ると、人のいない医局が寂しく感じた。
今日は泊まりが少ないのか広々としている。
と、切ったはずの携帯電話が再び鳴り出した。
「あ、ごめん急に。忙しかった?」
「いや、急患もなく平和だよ」
さっき優苗を連れて家に帰った大地からだった。
「一応報告しておこうと思って」
「ん?」
「帰りにまた発作起こしたから今家で吸入させてるとこ」
電話の後ろから、言わないでと揉めている声が聞こえてきた。
言わないで、なんていつまで発作を隠そうとしているのだろうか。
「じゃあ明日の朝かな、連れてきて」
「うん、よろしく」