Airis 2




「どうして大地じゃなくてわたしに?」



話し掛けながら目の下を見ると真っ白だ。
手首に指を掛けてみるが、やっぱり脈も速い。



「大地先生だと…怒られると思って」



ウッと口を押さえたので、慌ててビニールをかけた洗面器を口元にやった。


吐き気はあるようだけど、吐けないようだ。



「だいぶ貧血酷いから、やっぱり大地にも診てもらって」



しぶしぶ頷いたタイミングで、大地がやってきた。



「久しぶりだね、沙衣ちゃん」



気まずそうに目を逸らす沙衣ちゃんをよそに、パッと脈を測りこっちに目をやった。



「貧血だね………いつから?」



「ここに来たのは15分前、でも多分もっと前から」



と言いながら場所を入れ替わる。







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