Airis 2
「じゃあ、当直なんで…」
仕事を言い訳にそそくさと去って行った優苗に呆れながらも、袋をぶら下げて病室へ戻る。
「おかえり!」
本当に病人か、というくらい大きな声で満面の笑みを浮かべている。
少し体調が良くなったら、すぐ調子にのるところが沙衣の悪いところだ。
……でも、いいところでもある。
「ごめん、桃はなかったからゼリーにした」
テーブルの上に、プリンとゼリーを並べて置いた。
「好きな方食べな」
「んー…ゼリーにする」
袋から、おばちゃんが入れてくれたスプーンを取り出して渡す。
蓋をあけると嬉しそうに食べ出した。
「ねえ、昨日どうして大地じゃなくて優苗のとこ行ったの?」
プリンを食べながら、昨日気になったことを聞いてみた。
「……え?」
聞こえてるはずなのに、聞こえてないふりをする沙衣。
こういうところは相変わらずだ。