Airis 2





「沙衣の主治医は大地だろ」



「そんなの知ってるし…」



この話題は避けたいのか、むすっとした顔でゼリーを口に運ぶ。


と、3口ほど食べたところで手が止まった。



「……無理はやめてね」



「別に」



そのままもう一口いこうとしたところで、スプーンが落ちて手はそのまま口元へいった。



「っ……」



「無理して食べなくていいから」



背中をさすりながら落ちたスプーンを拾う。


食べたい気持ちはあるんだろうけど、体が受け付けないのだろう。





「ごめん」



落ち着いたところで沙衣がそんな言葉を発した。



「沙衣は悪くないだろ」



「でも」



「…泣き虫」



今回の入院でどれだけ泣くつもりだろうか。

涙が落ちる前に拭ってやりながら思い返すと、かなり泣いている。





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