Airis 2
寂しい思いをさせてしまっている、というのは重々承知している。
だけど仕事だからしょうがなくて。
医者の仕事とはそういうものだから、
そこは理解してもらうしかない。
俺にできることといえば、家にいるときにもっとふたりの時間を作ることくらいだろう。
「なあ、沙衣」
「……」
「もっと電話とかしてきていいから」
「……」
「電話くらい割とできるんだからね」
遠慮するのか沙衣はなかなか自分からはかけてこない。
俺がするとすぐに出るから、いつも待ってくれているのだろう。