Airis 2
奈央は強いわけじゃない。
むしろ心配性で本当は寂しがり屋だ。
わかっているのにいつも甘えてしまう自分がいる。
「……湊のお仕事、かっこいい」
「ありがと」
「わたしが奥さんでいいのかな、ってくらい湊はすごい」
そんなことない。
俺は奈央を選んだ。
そして奈央は俺を選んでくれた。
「俺は、奈央さえいればいいって思ってる。それくらい奈央が大切」
俺たちがこんなに素直になって話すことはあまり無い。
だからこそ、この機会に伝えたい。
「もし奈央が医者やめて欲しいって言うなら、俺は辞めてもいいと思ってる」
腕の中で、奈央が頭をブンブン振った。