Airis 2
「いらっしゃ……あ、ありがとう愛永ちゃん」
玄関の扉を開けてくれた真鍋に挨拶する間もなく、愛永が手にもっていた小さなぬいぐるみを差し出した。
手土産にしてはだいぶ使い古している。
「真鍋先生、これ」
優苗がぬいぐるみと引き換えに、
行きがけに買ったお菓子の詰め合わせを手渡した。
愛永が自分もお菓子が欲しいと駄々をこねたのは、真鍋には内緒にしておく。
「わー!これ、最近駅前にできたお店ですよね」
食べてみたいと思ってた、と後ろから出てきた沙衣ちゃんが覗き込んだ。
顔色は良さそうだ、と思わず主治医目線になってしまう。
「そう、わたしも気になってたからここにしちゃった。今日なお招きありがとう」
「沙衣ちゃんの料理、楽しみにしてきた」
愛永の靴を脱がせながら声をかけると、
自信があるのかニコニコしている。
「今日は味見もしてもらったし、ばっちりだから」
「最初はどうなることかと思ったけど」