Airis 2
沙衣のためだとは分かっていても、
治すことの出来ない医者である自分に嫌気がさしてしまう。
「お前が気にやむことじゃないよ」
「いや……うん、わかってる」
しかも沙衣はそれを淡々と話すから、
それもまたその気持ちに拍車をたてた。
「………結婚、しようかな」
「………え!?」
無意識に出た言葉に、目の前の大地はかなり驚いている。
いや、正直自分でも驚いているけど。
「だって沙衣が仕事やめたらさ………なんか心配だし」
なぜこんなに言い訳口調になっているのか。
そんな俺に大地はくすくすと笑った。