そんなに、可愛い顔すんな。~男子校は、ドキドキですっ!!~


「……って、結愛。おまえ、サラッと、なに言ってくれてんの?」

 お兄ちゃんは眉をひそめて、腕組みをした。

 廊下の壁にトンッともたれかかり、イラついたように片足をトントンと踏み鳴らす。

「オレのモットーは、無遅刻、無欠席なわけ。ガキの頃からのその記録、破らせる気?」

「…………」

 ……って、あのー。

 お兄ちゃんに、そんなモットー、ありましたっけ?

 その前に、病気とかで学校を休んだことがあった気が……。

 するけど、うーん、どうだったかな?

 あごにひとさし指をあてて考える。

 あぁ、無理だ。よく覚えてない。

 よく覚えてないけど……、百歩譲ってそんなモットーがお兄ちゃんにあったとして、今回あたしをお兄ちゃんの身代わりにした時点で、その記録はアウトだと思う。

 だってあたしは、お兄ちゃん本人じゃないんだし。

 ……と言いたいけど、お兄ちゃんには常識が通用しない。

 だって、自分が一番偉いと思っているから!

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