脈拍100~起立性調節障害という病気~
街はすっかりクリスマス一色で、すれ違う人々が皆楽しそうに見えた



色とりどりのショーウインドウ



大切な人の喜ぶ顔を想像しながら選ぶプレゼント



華やかな街の浮かれた雰囲気に馴染めない自分がそこにいた







『自分の子供が入院するために必要なパジャマ』には心がウキウキするようなキーワードがひとつもない



長引く原因不明の熱、突然の入院…不安がないといえば嘘になる



そんな私と楽しげな街との落差は甚だしく気分が落ち込むばかりだった



私の心がもう少し繊細で、悲劇のヒロイン体質だったなら、間違いなくあの雑踏で号泣していたと思う



だけど私は良識のある大人だったので、自分の任務を遂行するために、そんな感傷はいつもよりたくさん瞬きすることで乾燥した冬の空気に潤いを与えるという方法で対処した








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