振った男
「あのリス、かわいいね」


「ん?ああ、もらいもの」


「誰から、もらった…んー、ん!」


誰からもらって飾っているのか気になったけど、キスで言葉は続けられなくなってしまった。

もしかしたら、あの人…小夏さんからもらったのかもしれないけど、もうそんなことでは不安にならない。だって、私をちゃんと見て、抱いてくれるから。

あの人と一樹は抱き合ったこともなければ、キスもしたことがない。だから、私のほうがずっと一樹のそばにいて、一樹を知っているし、分かっている。

一樹は、私のことが一番好き。

あの人よりも好き。

一樹が好きなのは私だと信じた。


だけど、それは大きな間違いだった。

あの人への気持ちを消すことが出来なかった…。
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