振った男
「あー、んー、幼馴染みも来るし、その中に入るのはちょっと…いつも決まったメンバーだし」


幼馴染みでピンと来た!

一樹のいう幼馴染みとは、きっとあの人だ。一樹がずっと好きだった人。

好き…だった?

もしかして、だったという過去ではなくて現在も進行している気持ちかもしれない。

確信する返事を聞くのが怖かったけど、どうしても一樹といたいから、そこに触れなければならない。

手にグーにしてぎゅっと握った。


「その来る幼馴染みの人って、小夏さん?」


「ん、そうだよ。小夏の母親が看護師でクリスマスはいつも夜勤だから、寂しくないようにと小さいときからうちに来てる。まあ、家族みたいなものだし、恒例になっている」


家族みたいなもの…そこに特別な意味が込められていて、そこに私が入ることを拒否されているように感じた。

家族ではないけど、今は恋人でいつか家族になれるかもしれないと思っていても、入れてはもらえないのかな。
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