振った男
じゃあ、私もピアスをもらう?

ううん、ピアスよりももっと良いものを…もらったら、特別だと感じられるのかな?

違うように思う。

結局、一樹に任せた。ネックレスでもいいし、他のものでもいいし、一樹が私にあげたいと思うものにしてと頼んだ。


それから、数日ずっと考えていた。

一樹は私と小夏さんのどちらのほうがより好きなのかと。

私は小夏さん以上の特別な存在になれたのかと。

このまま、一樹と付き合っていていいのだろうかと。


何度も同じことを考えていた。

街中にクリスマスソングが流れるようになり、着々とクリスマスが近付いてきていたけど、一樹へのプレゼントを買えずにいた。

小夏さんと同じ手袋をあげて、私のあげたのを一樹がはめてくれたら、それで満足出来るのだろうか?

違う…私が望んでいるのはそんなことではない。

一樹はきっとまだ小夏さんが好きだ。

もし、私と小夏さんが溺れていたら、迷わず小夏さんを先に助けるだろう。

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