振った男
一樹には幸せになってもらいたい。

私と共に幸せになるなら最高だけど…。



クリスマスまであと10日というある日。

「あれ?高宮さんじゃないの?」


「あ、うん…」


アキとカラオケ店に向かって歩いていた。

アキが指差したジュエリーショップの中に一樹がいた。


「もしかして、舞花へのクリスマスプレゼント?わあ、いいなー。何を見ているんだろう…あ、ピアスみたい。あれ?舞花、ピアスしていたっけ?」


「ううん、してない…」


一樹が手にしていたのはピアス。小夏さんにあげるピアスだ。店員さんにいくつか並べてもらい、真剣に選んでいた。

私のを買ったかどうかは分からないけど、小夏さんへのプレゼントを選ぶ一樹の表情は優しかった。小夏さんが喜ぶ姿を想像しているのかもしれない、


上の空だったカラオケ店を出た後、私は一樹を呼び出した。

もう悩むのは嫌だった。

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