振った男
「はい」


「すいません。ありがとうございます!」


「いいえ。どういたしまして」


爽やかな笑顔を見せられ、私は、固まった。


「あ、高宮…さん」

1ヶ月前に食堂で見てから、何度か姿を見ることはあったけど、こうして向かい合うのも、言葉を交わすのも初めてだった。


「あれ?俺のこと、知ってるの?」


「あ、うん。ちょっと聞いたことがあって」


「俺も知ってるよ。生田舞花さんでしょ?」


またもや爽やかに笑いかけられ、私の心はドキッとした。なるほど、この笑顔に女は惚れてしまうわけだ。

本人は意識しているのではないだろうけど、この笑顔はヤバイな。

でも、何で私の名前を知ってるのだろう。


「何で私のことを?」


「友達がかわいいと騒いでいたから」


「あー、そうそう。高宮さんのことも友達がかっこいいと騒いでいたから知っていたの」


「アハハ!そうなんだ。お互い、噂になりやすいんだね」
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