そこにアルのに見えないモノ

「総ての責任は父さんにあるから、お前は余計な事を気にして考えるな、と。
こんな形を選んだ事を許して欲しい、と。
母さんは弱い人だから頼む、とも。
母への手紙は、母のものなので、内容は解りません。
どんな内容にせよ、読んだ母が理解出来たのか…解りません。理解はしたくないでしょうね、…一生。
はぁ、すいません。なんだか、また、思い出してしまって。
総一郎さんの事、娘さんの居るお父さんなんだなと思っていたら…すみません」

総一郎さんはゆっくり首を振った。


「出来たぞ。…さぁ薫ちゃん。
今の内にご飯やっとくか?今日は“親子丼”だ。
泣きながら食っちまえ」

「総一郎さん…はい」

総一郎さんは本質は優しい。
他人は介入出来ない事だけど、別れた奥さんと娘さんと、いい関係で居られるよう、話せる日が来たらいいなと、本当に思う。
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