そこにアルのに見えないモノ
探究
確かあの子…、走り去る際に聞こえた。
バロン…?だったか。
勤めている店の事だろうか…。
明日、探してみるか…。
俺には自由に出来る時間はある。
結局、跡は継がなかったから。
親父も馬鹿じゃない。
会社を潰すかも知れないやる気のない息子より、忠実な部下を社長にするのが得策だ。
初めから解りきった事だった。
…ゴタゴタしたのは、親父の最後の悪あがきだ。
俺も…足掻いた。
結局、元の仕事に戻った。
デザイン事務所は、俺に戻らないかと声をかけてくれたが‥。
…もう、いい。
自分のペースで請けられる仕事ができれば…それでいい。
そう思って、独立した。
給料の殆ど無駄に手をつけず置いといた。
これが無ければ、無理な話だった。
…結局、誰とも関わりたくない、煩わしい、逃げ…なんだと思う。
実家とはずっと絶縁状態だ。
何時、何処まで干渉されずに済むかは、この先解らない。
…あの親父だから。
【スナックBaron】
…ここか?
昼間だが開いてるようだ
俺はドアに手をかけた。