そこにアルのに見えないモノ
探究


確かあの子…、走り去る際に聞こえた。
バロン…?だったか。

勤めている店の事だろうか…。

明日、探してみるか…。

俺には自由に出来る時間はある。

結局、跡は継がなかったから。

親父も馬鹿じゃない。
会社を潰すかも知れないやる気のない息子より、忠実な部下を社長にするのが得策だ。
初めから解りきった事だった。

…ゴタゴタしたのは、親父の最後の悪あがきだ。

俺も…足掻いた。

結局、元の仕事に戻った。

デザイン事務所は、俺に戻らないかと声をかけてくれたが‥。

…もう、いい。

自分のペースで請けられる仕事ができれば…それでいい。
そう思って、独立した。

給料の殆ど無駄に手をつけず置いといた。
これが無ければ、無理な話だった。

…結局、誰とも関わりたくない、煩わしい、逃げ…なんだと思う。

実家とはずっと絶縁状態だ。
何時、何処まで干渉されずに済むかは、この先解らない。
…あの親父だから。



【スナックBaron】
…ここか?

昼間だが開いてるようだ

俺はドアに手をかけた。

< 19 / 64 >

この作品をシェア

pagetop