そこにアルのに見えないモノ

「…あ、ごめんなさい、思い込みで…」

「いいえ、……抱えているモノか…はぁ。
確かに。…どうする事も出来ないモノがあります。今更、どうにも出来ない事…。
…そうですね。
深層をつかれた気がします。
どうにもならない心の行き場に困って、ここに来てるのだと思います。
もう、何年も…。時が経過したって、忘れる事が出来ない後悔の念、といったところでしょうか…」

「…私は。……ある決断に迫られた時…、事の次第、本質が解って無くて…。浅はかでした。ただ自分の我を通してしまって…。それで取り返しのつかないことになりました…。
今更どうにも出来ませんが。ずっと、そのことに囚われています」

「…そうですか。…お互い、後悔にですね。
僕等は同じなんだろうか…」

「…同じかも知れないし、…違うかも知れません」

「え?」

「重さ、です。貴方の方がずっと重いのかも知れないし、私の方が重いのかも知れない。それは、…それぞれ違うから、計れませんけど…」

「あぁ、確かに…、そうですね。
あの…、また会えたら…、解らないけど…、また会えたら…、話しかけてもいいですか?」

「はい。…また会えたら」
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