そこにアルのに見えないモノ
黒崎さんが、Kurosakiの息子?
…不安だった事が現実となって襲い掛かって来た。
そうじゃないかと思っていても、そうじゃなければいいと思っていた。
父親の事、自分に告白された事、それぞれ違う感情を上手くコントロール出来ないでいた。
でも、今はうろたえていてはいけない。
決めて電話したんだ。
乗り越えなければ。
いつかじゃない。
今なんだ。
「あの、望月の娘、晶(あきら)です。
お願いがあります。
今更と、お思いになるかも知れませんが、あの時の経緯が知りたいのです。あの時私は…子供でした。
だから、解りきれて無い部分があるのです。
会ってお話が聞きたいのですが。ご無理をお願いしているのは承知しています。
できれば明日か明後日、ご都合はいかがでしょうか」
こんな丁寧な口調で、高台の私とは別人格のようだ。
自分でも違和感がある。
じっと返事を待った。
「解りました。明日、お迎えにあがります。
高台に行って話しましょう。夜でも大丈夫ですか?」
「はい何時でも結構です」
「では、この間お送りした場所に、そうですね…、8時に行きます」
「解りました。では明日、宜しくお願いします」
「では、明日」