そこにアルのに見えないモノ
どうやら疲れてグッスリ眠ってしまったみたいだった。
総一郎さんは私を胸に抱きながら頭を優しく撫でていた。
伝わってくる胸の鼓動に安心する。
恥ずかしい、顔なんて見られない。
そう思って総一郎さんの胸に顔を寄せた。
「晶?起きてるのか?」
「…ふぁい」
くっついたまま返事をした。
「フ、クスクスッ」
笑われた。
「…唇、くすぐったいだろ?くっついて話したら」
そうだったのか。
「晶?体、大丈夫か?」
「はい、いいえ、何だかよく解らない違和感が凄くあります。
腰、抜けそうです、怠いです」
「ああ、だろうな。
まあ、慣れてくるから。そしたらもっと気持ち良くてたまら…」
「わーわー、…今、大人な会話、しないでください。恥ずかしいから…」
「大人な事一杯したんだけどなぁ」
「わー、もー、だから言わないでください、…泣きますよ」
「晶、こっちに」
総一郎さんに抱きしめられた。
「はぁ、晶、あのさ〜、今更だけど、俺いくつだと思ってる?」
自分でおっさんおっさん言ってた手前…晶は実際どう思ってるんだ。
「ん〜。娘さん居るし、一般的な父親くらいの年齢ですかね」
やっぱ、親父さん扱いか。
「具体的には?」
「よく解らないです、45くらい?」
おい、おい、いくら何でも酷いじゃないか。
「ブー、だな」
えっ、ちょっと贔屓目に言ったつもりだったけど、もうちょい上なのかな。
「39だ」
「えーっ、39!?」
若!思わず起き上がってしまった。
「…今の、どっちの、えーっなんだ?」
「えーっ、若い、の、えーっです」
「そうか」