そこにアルのに見えないモノ


で、どうする?
Baron、辞めるか?続けるか?」

「…」

「アキヒコさんもシンジさんも、他の常連さんも、カオルちゃんが居なくなったら寂しがると思うけど?
まあ…、一番寂しいのは俺なんだけどね」

「…」

「晶…、自分で決める事だ。大人だからな」

「…総一郎さん」

「何?」

「…だって」

「ん?」

「神妙な話の内容と、している事が違います」

「ん?」

「…総一郎さん」

「あぁ…」

背中に回して抱きしめていた右手を、服の裾から忍び込ませ、いつの間にか背中のホックを摘んでいた。

両手を軽く上げ“万歳”して降参した。

「長く抱きしめて密着してただろ?だから、つい…な?
で、どうする?」

「…続けます」


キャッ。抱き上げられた。

「そ、総一郎さん、下ろしてください」

「続けるんだろ?ベッド行くぞ」

「もう…、違います」

「ん?ここがいいのか?寒いぞ。
まあ、直ぐアツくなる…」

「そうじゃなくてですね…仕事…」

「解ってるよ。

俺と居たいんだろ?」

< 63 / 64 >

この作品をシェア

pagetop