*いいかげん俺を好きになれよ*番外編
あたし達は亜美ちゃん達を見送ると、再び電車に乗り直した。
今度は運良く座ることができて、席に着いたとたんお互い顔を見合わせる。
「…はぁ。
もう一時はどうなることかと思ったよ〜」
「…俺も。
まぁ無事で良かったな」
だけどハラハラヒヤヒヤしたわりに、なんだかほっこりとした温かい気持ち。
一時の出会いだったけれど、いい経験だったかも…。
あたしはさっきのアユの姿を思い出して、思わず笑みがこぼれた。
「ふふ、アユかっこよかったじゃん。女の子助けに行って。
着いたら抱っこしてたからビックリしたよー(笑)」
「いや…すげぇ泣いてるしどうするかと思ったけど抱いたら泣き止んだんだよ。
しかもなんか俺の髪いじって遊んでるし。
子供って意外と重いんだな」
アユはなんだか感心したように話してくれる。
それがちょっと微笑ましい。
「あはは、よかったね!懐かれてたじゃん。
でもなんかねぇ、今の見てて思った。
アユって将来いいパパになりそうだなーって。
意外と子供に好かれそうだよね」