俺をこんなに好きにさせて、どうしたいわけ?
「熱…あるかも」



「…へ?」



「顔、熱いし…風邪っぽい。あたし、帰るね…」



きっと、これは風邪。



そうに違いない。






矢野の腕を振り切ろうとしたら、怪訝な顔をしたあと、



ニッと口の端を上げる。



そして…。



「じゃー。その風邪、俺にうつせば?」



あたしの顎を軽くつまみ、チュッとリップ音を鳴らす。



「わぁっ!!」



今度は、間髪入れず後ろに逃げ切った。



そして、



さっきはうわずった声も、いつも通り。



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