俺をこんなに好きにさせて、どうしたいわけ?
だけど…矢野は、あたしに殴りかかってこなかった。




「コウタ、帰るぞ」




表情を隠すように、くるりと反対の方向を向く。




そして、すぐに家を出て行った。




コウくんは、美琴と顔を見合わせている。




「兄ちゃんに、迎えに来てもらうことになってんたんだ。俺、あんまり道とかわかんなくて…。

美琴ちゃん、今日はありがとう。また明日学校で」




慌てて家を出て行く。




それを追うように、美琴も家を出た。












「コウくん、また明日!!」




矢野の跨るバイクの後ろで、コウくんがメットを頭にかぶっている。




美琴が駆け寄ると、矢野がハンドルを美琴に向け、威嚇するようにライトを照らした。




「なっ…なにしてんの!?危ないじゃない!!」




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