拝啓、先生様
だから

私は今ここにいるの




どこを見ても

眩い人工的な光が照らす世界しかないから




目についた
誰もいない寂れたビルに登って

頭上を見上げても
求めていた輝く光は見えなくて






口を開けるだけの

音にならない声で叫んだんだ





誰かに見付けて欲しかったから



叶温に見付けて欲しかったから






叶温の居る夜明けを望んで


叶温の居ない夜更けを拒絶した







けど

きっと届かないね






分かっているんだ

そんなこと







手を伸ばしても届かない闇と



手を触れたくない光があることを






私は

叶温に教えられたから

叶温で学習したから
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