拝啓、先生様
夜風が気持ちいいな



少し冷たいぐらいが丁度いい






腰掛ける縁から見下げた視線の先には






目を奪う様な
美しい蝶に見せ掛けた


絡め捕る様に
醜い蜘蛛が舞い踊っている







きっと
叶温はいる



ううん
絶対いる






だってさっき見掛けたから



ビルに登る前に



ピンク色した光に吸い込まれたのを




私が見間違えるはずなんてないから







だから

だからね





叶温がいるその世界へ

私もイキたくて






見えもしない叶温目掛けて

飛び込んだんだ
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