クール男子の取扱説明書
─祐月side─
「あの……」
一人で、廊下をうろついていると、後ろから声をかけられた。
振り向くと……えっと……
「カオルです」
そう、カオルさん。カオルさんが俺に声をかけてきた。
「こんな時間に一人で?」
「眠れなくて……」
カオルさんはそう言った。
面倒なことになった。
ずっと、ここで話してるのもあれだし。
それに、俺。この人、苦手だ。
「じゃあ、俺はこれで」
さっさと、カオルさんから離れようと思って俺はお辞儀をした。
その瞬間、カオルは目の前にあった部屋の扉を、開けて俺を引きずり込んだ。