たいよう
さくら
出会い
『じゃあお父さん!!行ってくるね〜』
「いってらっしゃい」
『いってきます!ほら、翔太、行くよ』
「はーい、いってきまーす!!」
春、小学4年生になった弟を連れて家を出た。
『新しいクラス楽しみだね〜』
「うん!あ、ケンちゃんだ!お姉ちゃん行ってくるね!!」
『はーい、いってらっしゃい!』
弟の翔太が生まれてすぐ、
お母さんが病気でこの世を去った。
父親と弟と3人で暮らしてる我が家での母親役はわたしだ。
家事ももう随分手馴れた。
「4番線乗り場に電車が到着します...
危ないですから黄色い線まで.....」
電車のアナウンスが聞こえてきて、
いつもの列に並ぶ。
新学期になったからか、
いつもとは違う顔ぶれのように見える。
「ドアがしまります、ご注意ください」
電車に乗りこみ、
わたしの降りる駅まで開かないドアの方の手すりにつかまって外を眺める。
ーーーお母さん、
今日も1日がはじまった