キミが幸せに。
「ふざけてなんてないから。俺、梨子が好きだから」
「そんなわけないし……。そういう冗談やめてよっ。本当笑えないから」
頬が引きつって顔が強張る。
あたしは日誌を抱きしめると勢いよく立ち上がった。
「あたし、職員室行ってくるから。湊太は先に帰っていいよ」
「……――おい、梨子!!」
湊太があたしの手首を掴んで制止する。
「……ごめん」
その手を振り払うと、あたしは教室を飛び出した。
「梨子!!」
背中に湊太の声がぶつかるのを無視して廊下を走り続ける。
「……――っ」
胸が痛む。
ずっと忘れようとしていた思い出したくない昔の古傷がうずきだす。