キミが幸せに。
「ねぇ、湊太……。さっきのってどういう……――」
「――大丈夫。何とかするから」
湊太は傘を持っていない方の手であたしの手をギュッと握りしめた。
温かい手の平とは対照的に湊太の瞳が揺れている。
「湊太……あのさ……」
「なぁ、梨子。来週の日曜空いてるか?もうすぐ一か月だし、どっか行くか?行きたい場所とかある?」
無理矢理明るく振舞おうとしているのが手に取るようにわかる。
湊太……無理しないでよ。
あたし、湊太にそんな辛そうな顔させたくないよ……。