キミが幸せに。
『俺、梨子が好きだから』
湊太の言葉が頭の中で繰り返される。
あたしだって湊太が好きだった。
ううん、今も好き。
高1、高2と同じクラスになり言葉を交わす様になってから自然と湊太を意識するようになった。
明るくておもしろくて誰に対しても優しい湊太。
笑うと顔がくしゃってなって子犬みたいに可愛いのに、時折見せる真剣な表情はドキッとしてしまうほど大人っぽくてカッコよかった。
そんな湊太に『好き』と言われて嬉しいはずなのに……。
両想いになれて幸せなはずなのに、複雑な気持ちになって素直に喜べない。
湊太が本当にあたしを好きなのか疑ってしまう。
―――中3の時のあの出来事は、2年経った今もあたしの心に深い傷跡を残していた。