キミが幸せに。
「俺……梨子の気持ちわかんねぇよ」
湊太はクシャクシャと髪をいじった。
困った時によくやる湊太の癖。
「湊太、あのねっ、あたし……――」
「わりぃ、今冷静に聞ける自信ないから」
湊太はそう言うと、そのままあたしに背中を向けて歩き出した。
その背中を見つめていると、自然と涙が溢れた。
「ごめんね………っ。湊太、ごめん……」
あたしが良かれと思ってとった行動は湊太を苦しめていたのかもしれない。
溢れる涙を拭うことなく、肩を落として家を目指す。