キミが幸せに。
幸せ
湊太とはあの日からギクシャクしてしまった。
会話の一つもままならない。
そんな状況が続いていき、結局試合当日になってしまった。
「どうしよう……、あたしちゃんと湊太に渡せるかな……」
「何暗い顔してんの!!梨子がそんな顔してたら、うまくいくもんもいかなくなっちゃうでしょ!?頑張って作ったミサンガ、ちゃんと湊太君に渡してきなよ!?」
試合会場の前に着いて怖気づくあたしの背中を奈津美がバシッと叩く。
「いたっ!!」
手のひらで思いっきり叩かれたせいで、背中がジンジンと痛む。
「これで気合入ったでしょ?」
勝ち誇ったようににんまりと笑う奈津美。
「ありがとう、奈津美。あたし、ちゃんと湊太に会ってくる……。もう逃げないから」
弱気になっていた気持ちを奈津美のお陰で奮い立たせることができた。