キミが幸せに。
その時、目の前に人影が立ちふさがった。
「シュウ……」
「……――行くなよ。頼むから、俺とのことちゃんと考えてくれ」
真剣な表情を浮かべるシュウ。
「ごめん……。あたしはシュウとよりを戻すことはできない」
「どうしてもできないのか?」
「あたしには湊太がいる。これから先、湊太以上好きになる人は現れないと思う。あたし、それぐらい湊太が好きなの。湊太じゃなきゃダメなの」
「でも、中3のあの時は俺のことそう思ってくれてたんじゃないのかよ!?」
「あたし、湊太と出会って人を好きになるっていうことがどういうことか分かったの」
湊太が自分以上に大切で、少しでも喜ばせたくて、少しでも笑わせたくて。
そして何より、幸せになってもらいたくて。
湊太がどうすれば幸せになれるかって先回りして考えてる。
誰かを本気で好きになると、自然と相手の幸せを願ってしまうものなんだ。
あたしは毎日湊太の幸せを願ってる。
だから、あたしは……――。
「あたしは、湊太が好き。だから、シュウとはやり直せない」
ハッキリとシュウの目を見てそう言った瞬間、
「……――だってさ」
聞き覚えのある声がした